子どもの人生を引き換えに得るイイねと収益_子どもをネットにさらすのは罪ですか?

2024-07-26

デイチューブは私たちが自由なるための唯一の方法だった―――。

【あらすじ】
パートで働きつつ、いつか夫と別れることを夢見る主婦・山田あずさ。

経済的な苦しさ、夫との不仲、あなどってくるママ友たち。

そんな窮屈な日常から抜けだすために、こっそり始めた「デイチューブ」の動画配信に、あずさは少しずつのめりこんでく。

唯一の理解者である娘・ふうかを傷つけない発信だけには気をつけていたあずさだったが、人気を得るにつれて徐々にふうかを利用するようになっていき―――。
なぜ親は子どもの素顔をネットに晒すのか、その後大きくなった娘が抱える問題とは? 動画配信によって歪んだ親子の関係性を描くセミフィクション。

【解説】
高橋暁子(ITジャーナリスト)

【「シリーズ 立ち行かないわたしたち」について】
「シリーズ 立ち行かないわたしたち」は、KADOKAWAコミックエッセイ編集部による、コミックエッセイとセミフィクションのシリーズです。本シリーズでは、思いもよらない出来事を経験したり、困難に直面したりと、ままならない日々を生きる人物の姿を、他人事ではなく「わたしたちの物語」として想像できるような作品を刊行します。見知らぬ誰かの日常であると同時に、いつか自分にも起こるかもしれない日常の物語を、ぜひお楽しみください。

引用元:子どもをネットにさらすのは罪ですか?

感想

可愛らしいシンプルなイラストに、テンポ良くお話しが進み…あっという間に読了。

あっという間に読めましたが、リアリティのあるお話の数々に、ページをめくる手が止まらない…!

個人的には、凄く怖いお話でした。

怖いというか寂しい?がしっくりくるかも。

SNSにのめり込む親、そしてそれに振り回される子どもたち…。

まさしく現代の闇とも言えそうです。

収入という自由になるための翼

主人公が動画配信サイトにのめり込んだ背景にはリアルさがあり、収益化=夫からの自由

という図式も納得。

インターネットやSNSの登場により、ひょんなことから誰もが金脈を掴める時代にあるので、認めてもらいたい、褒めて欲しい、有名になりたい、生活できるだけのお金が欲しい。

という欲に駆られてしまう気持ちも納得。

※線引きをしてビジネスライクに取り組めている人は別として

子どもの存在は=おいしい

しかし、置いてきぼりにされる子どもたち(時に家族やペットも…。

この作品では、主人公のみならず、娘視点でも描かれています。

大SNS時代において、狂乱する親と彼らを尻目に振り回され、その後の人生をも左右される子どもたちの存在を、強く思い知りました。

結末は…正直なところメリーバッドエンドです。

甲斐性の無い旦那さんとは縁を切り、この親子は確かに生き抜いた。

けれど、娘さんの置かれた状況がただただ悲しい。

本当はささやかな幸せに包まれて成長したかっただろうに…。

インターネットに一度アップされてしまえば、それは消えない刺青(デジタルタトゥー)として、ネットの海をさまよい続けることは多くの方が認識しているところだと思います。

今一度、自分のしている行動が”親として正しいのか”子どもの人生を無視していないか?をよく考えたくなる作品でした。

ふわっとした言い方をしていますが、要は、

子どもの顔写真アップしているアカウントは即刻皆消した方がいい。

現場からは以上です。

※作品の解説に、今の親世代(30代以上)は情報リテラシーを未履修とのことで、インターネットの使い方やSNSのトラブルを起こしやすいそうです。

情報特定の速度や解析具合も年々上がってきているので、幼稚園や保育園、学校などのイベントや同級生を顔消し無しで投稿するのは揉め事のタネだそうです。

まきりえこさんのアカウントにて試し読みはこちら。

レタスクラブさんの連載なら数話読むことも可能!

出版元のKADOKAWAさんにて15pまで閲覧可能。

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